「生態系を守るパーム(アブラヤシ)油の認証始動」
このような見出しの記事が日経エコロジー3月号にありました。
その要旨は、世界一消費量の多い植物油であるパーム油で、生物多様性を保全する認証制度が始まった。
英蘭ユニリーバや英スーパーのセインスベリーズがいち早く認証パームを購入した。
日本企業も早急な対応が迫られている。
パームの実から搾油・精製するパーム油は、チョコレートやカップ麺などの食品の他洗剤の界面活性剤に使用され、世界の年間消費量は4000万トンにも上る。
主要産地のボルネオ島では熱帯雨林を伐採して大規模パーム油農園を切り開く例が多く、オラウータンやボルネオ象が絶滅の危機に陥っている。
2004年にWWF(世界自然保護基金)とユニリーバなどがRSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)を設立し、生物多様性などを盛り込んだ8原則39基準を採用した。
昨年秋、基準を満たす事を証明する「RSPO認証制度」が始まり、今年1月までに6農園が認証を得た。
認証の特徴は、4方式から選べることだ。
① 認証農園と非認証農園のパーム油を流通段階で完全に分ける完全分離方式
② 認証農園同士のパームは混ぜるが、非認証品とは分ける方式
③ 認証品と非認証品を混合し、比率に応じて最終製品に表示する混合管理方式
④ 認証農園が発行した認証クレジットをパーム油利用企業が購入し、最終製品に表示する認証取引方式
①は認証レベルが最も高いがコストもかかる。②③④の順で認証レベルとコストは下がる。取り組みやすいのは③と④で、ユニリーバが選択したのは③だ。
日本では、サラヤが「④が取り組みやすいが②も実験的に実施したい。2010年日本開催のCOP10までに製品化したい」としている。
製油大手の不二製油は、③を検討中。ライオンや花王、三井物産は、「認証制度は緒に就いたばかり。認証農園や認証油確保のインフラが整っていない」として様子を見る。
一方食品会社は意識が低く、RSPOを知らないばかりかCOP10で日本企業がやり玉に挙がる可能性があり、対策が突きつけられている。
・・・・ということだが、数年前に某メーカーが、「地球に優しいヤシの実洗剤」というCMをテレビで放映したところ、環境NPOやNGOなどから大批判を浴びたことを覚えている方もいるだろう。
海の向こう側で起こっていることを意外と日本人は知らない。
パーム油はエビとバナナ或いはコーヒーと同じような環境破壊をしているわけだ。
合成洗剤使用をやめてヤシの実洗剤を使用することを推進している団体もあるが、それを必要としているヒトがいるのだから大切なことだと思う。
しかし、それが新たな環境問題を引き起こす。
日本企業或いは日本人が原因で引き起こされる海の向こう側の環境問題。それを忘れてはならない。